2022年11月に愛知県水泳連盟で基礎水泳指導員養成講習会を受講してきました
各教科のポイント、試験対策、課題レポートをまとめた記事になります
実技試験については、事前に練習しておき100m個人メドレーを基準タイム以内で泳げるようにしておく必要があります
基礎水泳指導員養成講習会
- 全国の都道府県⽔泳連盟で養成講習会を受講することができます
- 全国共通のカリキュラムです
- 受験資格:検定試験当⽇満18歳以上の⽅
- 2024年度実施予定の指導者養成講習会及び研修会リスト【2024.03.06】ダウンロード
問い合わせ、申し込みは各都道府県水泳連盟・協会へ - 受講・検定料20,000円(教科書代:2,640円(税込)含む)+資格登録料10,000円
教科書:水泳指導教本(三訂版)大修館書店
講習カリキュラム
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | |
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11月6日 | 11月13日 | 11月20日 | 1月27日 | |
9:00 | 9:10~受付 9:40~開校式 | 9:30~受付 | 9:30~受付 | 9:30~受付 |
10:00 | 10:00【学科】2H 水泳指導者・ 初心者指導法 | 10:00【学科】2H 水泳プールにおける安全 | 10:00【学科】3H 水泳の科学 | 10:00【検定】1.5H 学科試験 |
11:00 | 11:45~ プール入場可能 | |||
12:00 | 12:00【学科】1H 水泳の歴史 ★ | 12:00~昼食 12:45~プール入場可能 | 12:00【検定】1H 実技試験 ※昼食の時間なし | |
13:00 | 13:00~昼食 13:45~プール入場可能 | 13:00【実技】3H 指導実習 個人指導・集団指導 ★ | 13:00~昼食 13:45~プール入場可能 | |
14:00 | 14:00【実技】2H 基礎技術 4泳法 | 14:00【実技】2H 指導実習 指導法実習 | ||
15:00 | ||||
16:00 | 16:00【実技】1H 基礎技術 スタート・ターン | |||
17:00 |
★印は、課題レポートあり
検定試験
学科の各科目は、100点法で評価し、60点以上が合格
科目名 | 内 容 | |
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学科 | 水泳指導者・初心者指導法 | 指導者の役割(指導員制度含む) |
指導者とは(体罰、ドーピング、薬物含む) | ||
初心者指導法 | ||
水泳プールにおける安全 | 水泳の安全 | |
事故:飛込み、溺水、吸い込み等 | ||
水泳の科学 | 水泳・水中運動の特性 | |
バイオメカニクス | ||
実技 | 100m個人メドレー | 1 制限タイム以内で泳ぐこと 男子【1分40秒00】 女子【1分50秒00】 ※36歳以上の場合、1歳につき1秒加算する ※身体に障がいのある受験者に対しての判定に当たっては、 その障がいが不利にならないように配慮する 2 競泳競技規則に違反しないこと |
課題学習 | 水泳の歴史 | レポート1題(次のうちから1つ選択) ・水泳の起源と歴史 ・各種目の発達史(競泳、飛込、水球、AS、OWS、LS…) ・近代以後の日本水泳史 ・自己の所属先・チームの歴史(少なくとも昭和から) |
指導実習 | レポート2題 「個人指導」「集団指導」 | |
基礎技術 | 自主課題 合計5時間の練習 「実技練習報告書」 |
各教科の試験対策
各教科の出題ポイントです
引用元:水泳指導教本(三訂版)大修館書店
水泳指導者・初心者指導法
100点満点で60点以上を合格とする
色付き部分の穴埋め問題(多肢選択)がメインです
【指導者の心得】P12
●水泳というスポーツの特性
浮く、進む、潜る、呼吸法→陸上とは異なる
●優れた指導者とは
水泳を安全に、正しく、楽しく指導し、本質的な楽しさ、素晴らしさを伝える
【指導者の心得】P13
●安全管理に最新の注意を払う
物理的条件→水の特性、水深、広さ
環境的条件→水温、気温
【水泳指導員制度の歴史】P14~
●(公財)日本スポーツ協会
水泳コーチ1、水泳コーチ2
●(公財)日本水泳連盟
基礎水泳指導員
【スポーツとモラル】P20~
体罰①
●絶対的な上下関係が前提にある
●否定ではなく肯定してしまう
【スポーツとモラル】P24
ハラスメントとは
●加害者との力関係
被害者がハラスメントを受けていると感じる根本には、対抗できない不快な事態が生じている可能性がある
【ドーピング】P28
ルールはどのように決まるのか
●全世界・全スポーツが統一で、アンチ・ドーピングに関する全ての共通ルールは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が作成した「世界アンチ・ドーピング規定(WADAcode)」によって決められている
【アンチ・ドーピングの役割と権利】P31
アンチ・ドーピングの「権利」
●治療のために禁止薬物を使用したい場合(TUE申請)
【指導法 ウォーミングアップとクーリングダウン】P38~P42
●ウォーミングアップの目的
体温、筋温を上げる
●準備運動
じっとりと汗をかく位の強度で行う
●専門的ウォーミングアップ
至適な強度は心拍数140~160(beats/min)、主観的運動強度(RPE)は14程度「ややきつい」で30分間程度が望ましいとされている
●メンタル面のウォーミングアップ
緊張や興奮が強い場合はリラクゼーションを行う
緊張や興奮状態が弱い場合はサイキングアップを行う
●クーリングダウンの目的
疲労の回復、故障の予防、興奮状態から安静状態への復帰
●クーリングダウンの生理学的効果
疲労の回復には休養が重要であるが、ただの休養よりも積極的休養として行うことが回復を早める
●ウォーミングアップおよびクーリングダウンの留意点
スタート台の高さ、水深の違いから、スタートの浮き上がり違反や水底への衝突事故などが起こる可能性もあるため十分注意する
【初心者・初級者指導法】P43
●水慣れ
呼吸の仕方の違い:吐くことを先に教える
水泳プールにおける安全
●安全と対立する概念 事故・災害・危険・リスク・ハザード
●事故とは、思いがけずに起こった悪い出来事(意外性)
●危険とは、danger、risk、hazard
●dangerは危険の意として最も一般的なもの
●riskを構成する要素「潜在的な損失」「損失の重要性」「損失の不確実性」
●riskは、重要な損失の発生確率と予想される損失の大きさに比例する
●riskの低減 損失の大きさ、発生率を低減させるリスクマネジメントが大切
●水中では呼吸が確保されないため重大な結果を引き起こしやすい
●hazard「事故の起因源」「事故発生に結び付く対象や条件」と定義している
●被害の発生(危険を取り除く)あるいは被害の拡大をコントロールするような対策を安全対策という
【安全の3つの視点と保険】P94
●事故発生の予防 安全な指導と環境整備
●被害発生の予防 泳者の監視と迅速な救護体制
●被害拡大の予防 応急処置と緊急対応マニュアルの整備
●生じた被害を補填する最終的なセーフティーネット(保険)
【スポーツと安全】P95
●潜在的な危険をコントロールする(ルール・指導者・環境整備)
●事故の発生を未然に防ぐ(発生させない)ことが非常に重要である
【安全における管理と教育】P96
●安全教育 児童生徒の安全能力の育成を目指す
●安全管理 安全な環境作りを目指す
【発生状況】P108
1983年度~2013年度(31年間)169件発生
何らかの障害(後遺症)頭部70件、頸部78件が多い
【飛び込み事故の機序(しくみ)】P109
●飛び込みスタートした際に、到達する水深が深すぎるため水底に頭部を衝突させる
●初心者の場合、頭から入水する恐怖心や腹打ちを避けるためにプールサイド近くに垂直に近い角度で入水し、顎を引きすぎた状態で浮き上がることなく水底に衝突する
●熟練者の場合、高く飛びすぎ、プールサイド近くに入水
●深すぎる入水角度や入水した後の浮き上がりが遅れる
●水泳の熟練度等に限らず、発生する可能性がある
【飛び込み事故による障害・症状】P110
●症例には頸椎及び頸髄損傷がある
●頸椎・頸髄損傷では、受傷部位が上位であるほど症状は重い
●脊髄は脊柱骨の中を通る中枢神経である
●脊髄損傷者は、生活において様々な予防、管理は必要になる
●飛び込み事故は、重篤な結果を招く
【学校における「飛び込みスタート」の取り扱い】P110
●学習指導要領は、国の基準を示すもので、法的拘束力をもつ
●小、中学校、高等学校の学習指導要領は、その時々によって、表現と内容が変化している
●1947年、水面を移動するための「泳」、安全に水泳を行うための「水泳心得」と並んで「飛びこみ」が示された
●1949年、競泳としてのスタートとして飛び込みが明記された
【逆飛び込みからスタートへ】P111~112
●逆飛び込みとは、頭から水中に飛び込むこと
●「逆飛び込み」という名称が頭から垂直に飛び込むというイメージを与える恐れがあることから、1989年学習指導要領の改訂から「スタート」に改められ、「安全に十分留意すること」が示された
●1998年からの改訂は、「安全に十分留意すること」に加えて中学校と高等学校で「段階的な指導」が示された
●改訂ごとに安全配慮に関する事項の強化、飛び込み事故の防止が図られた
【スタートの説明】P110~113
●水中から壁をけって行う方法から始めるなど段階的に取り扱うことが大切である
●プールサイド等からスタートする技能について学習する場合には、特に安全を重視する
●初めは水深がある所で、低い位置から低い姿勢で滑り込むようにスタートする
●入水角度や浮き上がりの要領がつかめたら、姿勢を次第に高くしながら、「蹴りだし」、「空中姿勢」、「水中での伸び」などを段階的に学習するようにする
●生徒の能力に応じて順次高い位置からのスタートができるようにする
【水中からのスタートへの移行】P112~113
●2008年の小学校と中学校の改訂では、スタートを「水中からのスタート」に改め、飛び込みスタートの指導は禁止された
●スタートについては、安全の確保が重要となることから、「水中からのスタート」を取り上げることとしたものである
●2017年から改定2018年告示の学習指導要領で小学校と中学校は「水中からのスタート」を行う
●高等学校では、「段階的な指導」を行う(飛び込みによるスタートの指導は可能)
●中学校の改訂、事故防止の観点
●高等学校では、飛び込みによるスタートやリレーの際の引継ぎを初めて経験することになるため、安全を十分に確保すること
●また、入学年次の次の年次以降、学校や他の地域の実態に応じて段階的な指導を行うことができる
【飛び込み事故を繰り返さないためにできること】P113~114 プールの水深についての問題点
●プールの水深は、飛び込み事故の環境要因の一つ
●昭和初期の競泳プール、水深が2m以上=溺れてしまう
●戦後から1960年頃までに作られたプール、最浅水深1.5m
●1978年以降、プールの水深について「適切な深さ」
(水深:小学校0.8~1.1m、中学校0.8m~1.4m、高等学校1.2~1.4m)←数字は出題されやすい
●小学校において、水深が2.5mのところがある深いプールが建設され、開設後まもなく子供が溺死した
→小学校には深いプールを作ってはならない(溺水対策のために浅い構造に)
●飛び込む高さも飛び込み事故の要因である(失敗すれば、到達水深は深まる)
【指導についての問題点】P114
●2005年~2007年度の中学生向け保健体育科の副読本の解説資料での問題点
「倒れるように手先から」(図3-11)
スタートは「最高点で「く」の字」「手先から足の先まで同じ位置に入水」(図3-12)
●スタートは、いずれも浮き上がる動作をセットで指導する必要がある
●入水角度が深くなりすぎたり、浮き上がりが遅れたりする要因を回避するのに十分な説明がなされたのか?
●水深について「120㎝以上が望ましい」P113~114(図3-13)スタートにはより深い水深が望ましい。図3-13のように示されると、120㎝以上あれば「安全」であると認識してしまわないか?
●スタートに関する指導において、説明不足と認識の違いがある→飛び込み事故の多くが、浅い水深と不適切な指導が相まって発生している
●指導方法等の対策=エビデンス(根拠)に基づく段階的な指導方法の提示と、その普及の徹底
●注意点=熟練者の速いスタートの見本は、初心者に対しての見本とはならない(同じイメージで飛び込みをすると危険性が高い)
【事故事例と教訓】
問題点①②③教本P115参照
【溺水させないことが一番大事である】P117~119
●水泳指導者として、まず何より大事なのは溺水を発生させないことであり、万一溺水が発生した場合の対処、すなわち次の手当として溺死を無くすこと
●2つのステップで安全対策を講じることが必要である
●「泳げる人の溺水事故と対処」1986年~2003年までのマスターズ水泳大会中に発生した14件の重大事故のうち溺水直後にCPR(心肺蘇生法)施行により回復したのは9件である
●大勢の遊泳者がいるようなプールで同様な溺水事故が発生した場合には、監視者をはじめとする周囲の人間が溺水に気が付くことは非常に困難である
●ノーパニック症候群「静かに溺れる」P119、215、216参照
【監視と溺水】P119~120
●監視エリアを明確に決めるなどして、監視に穴ができないようにしなければ盲点ができる
よって十分に留意して、穴のない監視体制の構築が求められる
●溺水による致死率が高いため、対策として最も有効なのは事故発生予防である
【3つの視点からの事故対策】P120~
1.事故発生予防
●泳者に対して、事前のメディカルチェックと当日の体調の把握が必須である
●気管内吸水や過換気などによって引き起こされる突然の意識消失による溺水の仕組みを熟知し、溺水発生を防ぐ
●子供は危険が近づいても察知することができないことから、水辺では子共から目を離さない
●水辺に子供が一人でいることが異常で危険な状態であることと社会的に認識されるようになるように努める
2.被害発生予防
●万一溺水事故が発生したとしても、その瞬間を捉え、すぐに対応することができれば被害の発生を予防することができる
●泳者の人数確認、バディシステムの有効活用、適正な観察員数、穴のない監視エリアをあらかじめ決めておく
3.被害拡大予防
●事故対応マニュアルの整備と一次救命処置(BLS)
●事故様態に応じた対応手順と連絡系統の整備
●事故対応訓練を行うことで、無駄のない対応
【被害拡大予防としての一次救命処置】P121
●心肺蘇生
①意識の確認と救急通報
②呼吸の確認と心停止の判断
③胸骨圧迫
④人工呼吸
⑤AEDによる除細動
⑥BLSの継続
●一次救命処置(BLS)は、十分なトレーニングを積んでいないと、気道確保することが難しい
一般市民が実施するBLSにおいては人工呼吸は不要
●小児の心停止や呼吸原性の心停止では、低酸素血症の持続時間が傷病者の救命結果を左右する最重要因子であることから、気道確保と人工呼吸から心肺蘇生法(CPR)を始めるべきである
【心肺機能停止から時間と蘇生率】P122
●救急車の現場到着所要時間は全国平均8.5分
病院収容時間は全国平均39.3分
●救急車の到着するまでにバイスタンダー(発見者・同伴者)による応急手当が救命の可能性を向上させる
●蘇生率を高めるためには、心肺停止からCPR等の応急手当開始時間まで短縮しなくてはならない
【事故事例1】
2019年8月16日「としまえん」プールで8歳女児死亡
ライフジャケット着用でも事故を防げなっかた盲点とは?
プールの最深部は1m90㎝「大人でも這い上がれない」
水に浮かぶマットの下で発見された
●溺れた場合にはパニックに陥ることも多く、冷静な行動ができなくなる
●潜り込み防止対策として、遊具の下に網やフェンスの設置する必要性あり
●遊具は色付けされていたが、例えば「透明化することで遊具の下を確認しやすくなり、事故リスクの低減につなげられる」
【事故事例2】
2022年6月28日
名古屋市名東区の小学校のプール授業において、小学1年生の男児児童がプールに沈んでいることに教員が気付き、応急処置により意識と呼吸を取り戻す、一時意識不明となったプール事故が発生
●プールの概要及び状況
1年生3学級69人がプールを利用、水面に顔をつけたり潜ったりする練習をしていた
●監視体制
学級担任3人と補助員1人が担当
1人がプールサイド、3人がプールの中から指導していた
【吸込事故の発生予防】P127
●プールにおける吸い込み事故は、死に直結する重大事故である
●吸い込み事故では、重大な事故のほか、水着などが排(還)水口に張り付き、身動きが取れなくなる
●張り付いた部分が頭部や毛髪の場合、呼吸器が水没しているため事故者は窒息してしまう
●家庭用ジェット噴流バス(風呂)でも吸い込み事故は発生している
【吸込事故被害の発生予防】P127
●吸込事故は、施設管理、現場の監視員が排(還)水口の危険性を十分に理解する必要がある
●ハードとしての対策(ボルト等による固定とふたの二重構造)
●ソフトとしての対策(日常点検と定期点検ならびに吸水蓋が外れた際の対応)
●吸水蓋が外れた際の対応(ただちに遊泳禁止、物理的に接近不可能な措置を講ずる)
●水抜き清掃点検(吸込口の内側及び外側のふたのボルトが締められているか確認する)ボルト締めの写真を撮影し記録する
●使用前の管理として、管理責任者が安全を確認して使用許可を出す
【吸込事故被害の拡大予防】P127.128
●プールにおける吸込事故では、事故発生から一気に重大な結果に帰結する
●吸込事故そのものを防止することが、吸込事故に対する最大の安全策である
【事故事例3】
2006年7月31日
埼玉県ふじみ野市のプールで小学生の女の子がふたの外れた吸水口に吸い込まれて死亡した
死因は頭蓋底骨折及び脳幹損傷
①吸水防護柵の固定方法の不備:本来ねじで固定すべきだった吸水口のふたが針金で仮留めされていた
②吸水口防護柵の点検が十分になされていない
③吸水口防護柵が外れているにもかかわらず、特段の措置(遊泳禁止、物理的に接近不可能、吸水ポンプの停止)を取らずに通常営業を継続した
水泳の科学
【水泳・水中運動とは】P152
●水中運動は、水面に対して垂直の立位姿勢で行う(アクアエクササイズ等)
●水泳では抵抗の少ない水中姿勢と大きな推進力の発生が速く泳ぐための鍵となる
【水の特性と水中環境】P152~155
●静的特性(水に入るだけで受けるもの)=水圧・水温・浮力
●動的特性(水中で移動する際に発生するもの)=抵抗・揚力・推進力
水圧
●水泳や水中運動を行う際に肩まで水に沈むと0.03~0.05気圧が胸部にかかり、肺活量が9%減少する(しっかり吸わないと運動できない)(深くなるとより水圧がかかる)
水温
●水は熱伝導率が空気の20倍以上という性質があり、水中では陸上に比べて容易に熱が奪われる環境にある
●水中では環境温による強制的な熱の奪われ方がより大きい
●水温がある程度高くても水中での活動時間に配慮する必要がある
浮力
●水中にある物体は、上下方向では推進の違いにより圧力の差が生じる。この圧力の差が「浮力」となる
●浮力の大きさは、物体が水に浸かった際に、物体が排除した水の量(体積)に相当する「アルキメデスの原理」によって求めることができる
●浮きやすさは液体の比重にも関係する。真水の比重は4℃で「1」海水の比重は真水の1.02倍。比重が高い分、海のほうが浮きやすいと感じる
抵抗(揚力、推進力)
●真水の密度は4℃で1,000㎏/㎥であり、同じ温度の空気と比べると約800倍となる(豆知識)真水は4℃の時に体積が最も小さくなる
●速く泳げば泳ぐほど受ける抵抗は大きくなる
●余剰浮力=人は物質としては沈みやすい(体の比重0.98)息を吸うと浮き、吐くと沈む
●競泳=大きな推進力を生みだし、水に当たる面積を最小にし、高速での抵抗を下げることが課題となる
●水中運動=断面積の大小、移動速度の速い遅いで変化する抵抗の影響を利用し、負荷を調整しながら運動する
【水の特性が身体諸機能に及ぼす生理学的作用】P155~P160
水圧の生理学的作用
●水中では身体に水圧がかかり、頚まで浸漬した場合、肺活量が減少する(9%)
●水泳や水中運動では努力呼吸が必要となり、陸上運動に比べて横隔膜、肋間筋など呼吸に関わる筋群を鍛えることができ、呼吸機能の改善が見込まれる
●水中に垂直姿勢でいる場合、足先にかかる水圧が最も高くなり、下腿、大腿と上がるにつれて水圧が徐々に小さくなる。この働きが静脈還流を促進させ、心臓に戻る帰還血流量を増加させる
●水位が剣状突起(みぞおち)以上になると一回拍出量の増大がもたらされる(スターリング効果)
●水中では陸上に比べて同じ運動強度での心拍数が低くなる傾向にある。また、寒冷刺激などの要因もあり、水中における心拍数は陸上よりも10~12拍程度少なくなる
●水中運動時には、運動強度の設定の際、目標心拍数から10拍程度少ない心拍数を目標心拍数にすることが望ましい
●水中では尿意感が増加する
水温の生理学的作用
●身体から熱が奪われてゆくと、体内で熱を産み出して、体温を維持しようとする仕組みが働く
●水泳をすると「風邪をひきにくくなる」というのは、水温による寒冷刺激によって体温調節の働きが高められるからである
●水泳・水中運動は体温調整機能の働きを活発にする運動であると考えられる
●寒冷刺激による筋緊張やふるえにより、水温が低下すればするほどエネルギー代謝が高まる
●「水泳指導の手引き(三訂版)」において、低学年や初心者は学習効果を考えた場合、水温23℃以上が望ましいとされているが、より体温低下を引き起こさないためにも24℃以上であることが望ましい
●産熱量と放熱量の収支バランスが崩れ、運動中に体温上昇が起こる臨界水温。32℃以下が泳ぐ場合の望ましい水温環境である
●トレーニング中の体温低下と上昇のバランスを考慮すると水泳トレーニングを行う場合は、26~29℃で行うことが望ましい
●夏季には水温が30℃を超える場合が多く、高水温環境でのトレーニングはより深部体温の上昇と発汗による脱水を招く恐れがある
●高水温環境では安全対策として、こまめな水分補給を行い、着用するキャップにも配慮する必要がある
浮力の生理学的作用
●水中での仰臥位(あおむけ)フローティング安静時、陸上に比べてリラックスした状態にさせる働きがある
●浮力は「リラクゼーション」という癒しの心理的作用を与える
抵抗の生理学的作用
●水中ウォーキングは、健康維持・増進のために無理なく行える運動である
【水中環境】P162~P164
●水は空気に比べて約800倍密度が高い
●身体の容積が70Lの人の全身が水中に浸かると70㎏の浮力を受ける(アルキメデスの原理)
●身体の質量の中心「重心」、水中で身体に加わる浮力の中心点を「浮心」という
●水は空気に比べて20倍以上も熱を伝えやすい
●人の身体は水温の違いによって様々な生理的な反応を示すため、指導者は常に水温をチェックし、身体に与える影響を考える必要がある
【水中移動運動】P164~P167
●移動速度の2乗に比例して抵抗が増す
●水中で人の移動運動に作用する抵抗は「摩擦抵抗」「水との衝突抵抗(圧力抵抗)」「波による抵抗(増波抵抗)」に分けられる
●クロールでは、手部を入水させてから、重心移動速度よりも速い速度で手を後方へ動かすようにすることが重要である
【水泳中の筋活動】P167
●泳ぎを指導する場合は、前方へ移動する推進力を得るために、どの局面でどの筋に力を入れるべきか知っておくことが大切である
最後に、講師の先生から水泳の動き(循環性運動)についてお話がありました
赤文字は覚えておくように(テストに出る)と
【正誤問題】
1 水中では、陸上に比べて容易に熱が奪われる。身体から熱が奪われてゆくと、体内で熱を産み出して体温を維持しようとする仕組みが働く。水泳をすると「風邪を引きにくくなる」というのは、水温による寒冷刺激によって体温調節の働きが高められるからである
2 水温が低下すればするほど、エネルギー代謝が高まる。寒冷刺激による筋緊張やふるえがその大きな要因となっている
3 水中では、陸上に比べて容易に熱が奪われる環境にある。30℃という同じ環境温度において、500Wの熱産生(運動)では、陸上の方がエネルギー消費が高い
4 屋外プールの場合、水温が30℃を超える高水温環境でのトレーニングはより深部体温の低下を招く
5 比較的、水温の高い(28.8℃)環境下の水泳において、シリコンキャップの着用は、頭部で産生された熱の放散を抑え、メッシュキャップよりも頭部表面温度や深部温、温度感覚が高くなる
【答え】
1 〇
2 〇
3 × 水中では環境温による強制的な熱の奪われ方がより大きいから
4 × 深部体温の上昇を招く 発汗による脱水もある
5 〇
レポート課題 作成要領
1日目「水泳の歴史」、2日目指導実習「個人指導」、「集団指導」のレポート3題をクリアする必要があります
提出後に採点があり、合格点に達しない場合は検定試験までに再提出する必要があります
再提出否の場合は履修時間不足となり、検定試験の受験ができません
課題出題の翌週にはレポートを提出しないと、再提出の場合に検定試験に間に合いません
課題レポート様式(4000字)はこちら
●次のうちから1つ選択 1行目に表題を明記
水泳の起源と歴史
各種目の発達史(競泳、飛込、水球、AS、OWS、LS等)
近代以後の日本水泳史
自己の所属先・チームの歴史(少なくとも昭和から)
●自分で調べ、まとめ、意見を含めて文章にする
参考文献は欄外に文献名、著者、出版年などを記載する
ホームページはURLといつ確認したかを記載する
自分の意見は総量の半分以下
原則、日本語で作成。4000文字以内
↓私が提出したレポート
「OWSの発達史と日本での発展」
水泳指導教本P80~83の内容をまとめる
↓私が提出したレポート
「個人指導」
水泳指導教本P83~85の内容をまとめる
↓私が提出したレポート
「集団指導」
基礎技術 練習報告書
合計5時間の練習課題を報告書にまとめます
申込みから登録まで
1 日本水泳連盟のホームページで各都道府県水泳連盟、協会の講習日程を確認する(12月頃)
2 受講したい都道府県水泳連盟、協会のホームページを確認する
3 「基礎水泳指導員検定試験申込書」をダウンロード、申込書に必要事項を記載して写真2枚(タテ3.5㎝、ヨコ2.5㎝)送付する
4 参加費を期限までに納入する
5 講習会参加許可通知が届く(10月)
6 講習会を受講する(11月)
7 検定結果通知書、基礎水泳指導員新規登録案内が届く(12月)
8 登録料を振込む(1月)
9 登録申請用紙に必要事項を記載して郵送する(1月)
10 基礎水泳指導員資格証が届く(4月)
まとめ
基礎水泳指導員資格は、水泳指導者を目指す方がまず初めに取得しておくと良い資格です
4日間の講習と課題提出、学科実技の検定試験と労力はかかりますが、就職、転職時、報酬面で有利となるため資格取得する価値があります
また、これだけの課題をこなす上で水泳指導に関する知識、技術が得られる他、積極的に行動すれば水泳関係者の仲間を作ることができます
さらに今後、上位資格の取得を目指す方にとっては、(公財)⽇本スポーツ協会公認⽔泳指導員専⾨科⽬として認定されるため、まず水泳指導者として初めに取得しておきたい資格になります
基礎水泳指導員の資格取得、目指して頑張ってください